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4-1. 相続人の範囲・相続分

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相続人の範囲・相続分-登記なび

ここでは相続人の範囲や相続分について見ていきましょう。

戸籍や住民票などの取得の前提として、誰が相続人になり得るのか、相続人の範囲や相続分を理解しておく必要があります。

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相続人の範囲

まずは、誰が相続人になり得るのか、について考えていきましょう。

 

原則

民法で定められた相続人の範囲は以下のとおりです。故人(以下、被相続人といいます)から見て次の人が相続人となります。

常に相続人配偶者
第1順位子(胎児を含む)
第2順位直系尊属(父母や祖父母など)
第3順位兄弟姉妹

順に相続人たる権利(以下、相続権といいます)が発生します。子がいない場合は父母や祖父母などの直系尊属に、直系尊属が全員いない場合は兄弟姉妹に相続権が移ります。

直系尊属は、被相続人により近い親等の人が優先されます。父母の一方が存命の場合、祖父母に相続権が発生することはありません。父母両名が死去しているときに初めて祖父母の相続権が発生します。

なお、元から先順位の相続人がいない場合のほか、先順位の相続人が被相続人よりも先に死去しているとき、相続を放棄したとき(⇒相続を放棄するか否かの検討)、相続人の欠格事由に該当するとき、相続人を廃除されたとき、にも相続権が移るのが原則です。

 

相続人の欠格事由に該当する場合とは?

法律上、当然に「相続人になれない人」が定められています。

(相続人の欠格事由)
第891条 次に掲げる者は、相続人となることができない。
一 故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ、又は至らせようとしたために、刑に処せられた者
二 被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、又は告訴しなかった者。ただし、その者に是非の弁別がないとき、又は殺害者が自己の配偶者若しくは直系血族であったときは、この限りでない。
三 詐欺又は強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、又は変更することを妨げた者
四 詐欺又は強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、又は変更させた者
五 相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者

長ったらしいので要約すると、故意に被相続人や先順位の相続人を殺害したり、被相続人に無理矢理遺言書を書かせたような不届き者にはそもそも相続はさせません、ということです。当たり前と言えば当たり前ですね。

 

相続人を廃除された場合とは?

相続人の廃除とは、法律上、当然に相続人になれない欠格事由の該当者とは違い、被相続人によって「お前は相続人にしない」と決められてしまうことです。

(推定相続人の廃除)
第892条 遺留分を有する推定相続人(相続が開始した場合に相続人となるべき者をいう。以下同じ。)が、被相続人に対して虐待をし、若しくはこれに重大な侮辱を加えたとき、又は推定相続人にその他の著しい非行があったときは、被相続人は、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求することができる。

(遺言による推定相続人の廃除)
第893条 被相続人が遺言で推定相続人を廃除する意思を表示したときは、遺言執行者は、その遺言が効力を生じた後、遅滞なく、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求しなければならない。この場合において、その推定相続人の廃除は、被相続人の死亡の時にさかのぼってその効力を生ずる。

これまた長ったらしいので要約すると、生前に被相続人を酷く“ないがしろ”にしたような不届き者には相続させなくてもいいですよ、と家庭裁判所にお墨付きをもらうことです。ただ単に「相続させたくない」という理由だけでは廃除はできませんのでご安心ください。

被相続人が生前に家庭裁判所に請求するか、遺言書で廃除する人を記載しておいて、被相続人の死後、遺言を執行する人(遺言執行者)が家庭裁判所に請求します。廃除が認められるとその人は相続人になれません。

なお、廃除ができる推定相続人は、遺留分を有する人に限られます。

遺留分がない推定相続人に対しては、被相続人が遺言で「一切相続させない」と決めてしまえば目的を達成できるため、裁判所を関与させる必要がないのです。

 

代襲相続

先順位の相続人が、被相続人よりも先に死去しているとき、相続人の欠格事由に該当するとき、相続人を廃除されたとき、には次の順位の人に相続権が移るのが原則です。

しかし、上記に該当する場合であっても、第1順位の子に「子」や「孫」(被相続人からみて「孫」や「ひ孫」。直系に限ります。)がいるときや、第3順位の兄弟姉妹に「子」(被相続人からみて「甥・姪」)がいるときは、それぞれ孫(孫が被相続人より先に死去しているときはひ孫)や甥・姪に相続権が発生します。これを代襲(だいしゅう)相続といいます。

例えば、被相続人Aさんには配偶者Bさんと子Cさんがいて、子Cさんには配偶者Dさんと子Eさんがいたとします。

CさんがAさんよりも先に死去しているときは、Bさん(配偶者)とEさん(子の子)がAさんの相続人となる、という仕組みです。

 

数次相続

数次相続とは、被相続人が死去して相続人になった人が、その後死去してしまい新たな相続が発生することです。

被相続人の死去後の新たな相続という点で代襲相続と異なります。

死去した相続人には有効に相続権が発生していますので、死去した相続人の相続人(数次相続人)に被相続人の相続権が引き継がれます。

例えば、被相続人Aさんには配偶者Bさんと子Cさんがいて、子Cさんには配偶者Dさんと子Eさんがいたとします。

Aさんの死去後にCさんが死去したときは、DさんとEさんはCさんが相続したAさんの相続権をCさんの相続人として相続しますので、最終的にはBさん(配偶者)とDさん(子の配偶者)とEさん(子の子)がAさんの相続人となる、という仕組みです。

相続権が移るという考え方ではなく、相続権そのものが相続対象となるというイメージです。

Point

  • 誰が相続人となり得るか正確に把握しておく必要がある。

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相続分

誰に相続権が発生したか把握した後は、その相続人がいったいどのくらいの相続分を有するのかを考えてみましょう。

 

原則

民法で定める相続分(法定相続分)は以下のとおりです。

配偶者と子が相続人の場合→配偶者1/2、子1/2

配偶者と子供1名の場合の法定相続分は、配偶者が1/2、子供が1/2です。

子供が増えると相続分を子供同士で分け合いますから、例えば、配偶者と子供2名の場合の法定相続分は、配偶者が2/4、子供Aが1/4、子供Bが1/4となります。

配偶者と直系尊属が相続人の場合→配偶者2/3、直系尊属1/3

配偶者と父母の一方が存命の場合の法定相続分は、配偶者が2/3、父(または母)が1/3です。

ご両親が存命の場合は相続分をご両親で分け合いますから、配偶者と父母両名が存命の場合の法定相続分は、配偶者が4/6、父が1/6、母が1/6となります。

配偶者と兄弟姉妹が相続人の場合→配偶者3/4、兄弟姉妹1/4

配偶者と兄弟姉妹1名の場合の法定相続分は、配偶者が3/4、兄弟姉妹が1/4です。

兄弟姉妹が増えると相続分を兄弟姉妹同士で分け合いますから、例えば、配偶者と兄弟姉妹2名の場合の法定相続分は、配偶者が6/8、兄弟姉妹Aが1/8、兄弟姉妹Bが1/8となります。

 

代襲相続や数次相続の場合

上記の原則に対して、代襲相続や数次相続が発生しているときは若干計算が複雑です。

例えば、被相続人Aさんには配偶者Bさんと子Cさん、子Dさんがいて、子Cさんには配偶者Eさんと子Fさん、子Gさんがいたとします。

Aさんが死去するより前にCさんが死去していた場合、Aさんの相続人はBさん、Dさん、Fさん、Gさんです。Fさん、Gさんは代襲相続人です。

代襲相続人は、生きていたとすれば相続人となるはずだった人(このような人を被代襲者といいます。ここではCさんが被代襲者です。)の相続権を分け合うので、それぞれの法定相続分は、配偶者Bさんが4/8、子Dさんが2/8、孫Fさんと孫Gさんが各々1/8となります。

同じく、Aさんが死去した後にCさんが死去した場合、Aさんの相続人はBさん、Dさん、Eさん、Fさん、Gさんです。Eさん、Fさん、Gさんは数次相続人です。

数次相続人は、死去した相続人(ここではCさん)に有効に発生した被相続人の相続権を引き継ぐので、それぞれの法定相続分は、配偶者Bさんが8/16、子Dさんが4/16、Cさんの配偶者Eさんが2/16、孫Fさんと孫Gさんが各々1/16となります。

Point

  • 相続分の計算は法定相続分で登記する場合に必要。

 

次は戸籍や住民票などの取得方法について見ていきましょう。

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